2024年5月31日
研究期間/研究費:2023年度〜2025年度/9,900,000円
共同研究機関:東京都立大学 都市環境科学研究科 中嶋 秀
研究の概要:我々が開発した、次世代半導体ISFET pHセンサーの1)精度、感度、応答速度、繰り返し再現性を、常圧・高圧で室内実験により試験して、適切な炭素素材を選定して、センサーの性能を実験室において確認する。2)作成された次世代型半導体センサーを、浅海域において試験する。3)海域において性能を評価したセンサーによって、湧昇ホットスポットとされる伊豆ー小笠原海嶺と周辺海域において、表層から水深6000mまでのpHの高密度時空計測を実施する。4)こうして得られたpH計測結果を、物理量の計測結果と合わせて、深層水の湧昇域を特定する。
研究の目的:深層海洋循環は、全球規模の熱輸送を通じて長期の気候変動を支配し、炭素や栄養塩の循環を駆動している。その北部北大西洋や南極海での海水の沈み込みの理解は進んでいるが、北太平洋における湧昇域は不明な部分が多い。中深層水のpHは7.3-7.7と低く、局所的な沿岸湧昇による表層海水のpH低下も確認されている。pHを、水温・塩分とは独立の化学パラメータとして、水深6000mまで繰り返し取得することができれば、湧昇域を特定することができる。しかし、現行のガラス電極やISFET電極は、参照電極として銀ー塩化銀/塩化カリウムを用いているため、高圧での計測は困難であった。本研究の目的は、我々が開発した、半導体を隔離し、内部液をもたない次世代半導体ISFET pHセンサーによって、高圧の深海のpHを高精度で繰り返し現場測定して、湧昇域を特定することである。