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東京大学大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻 茅根研究室

独立行政法人環境再生保全機構 環境研究総合推進費・委託費【問題対応型】「太平洋環礁国における気候変動に強靭な社会のためのNbS研究」(研究代表者:茅根創)

研究期間/研究費:2024年度〜2026年度/11,000,000円

共同研究機関:東京大学大学院工学系研究科(工学部)、東京大学大気海洋研究所、国立研究開発法人国立環境研究所生物多様性領域、国立研究開発法人国立環境研究所気候変動適応センター、東北大学情報科学研究科、東北学院大学経済学部、株式会社日建設計

研究目的:本研究の目的は,気候変動・海面上昇リスクに脆弱な太平洋SIDS環礁国の,ローカルな課題に応え,自然・人工インフラを活用した防災と社会経済の強靱化をはかるための,NbS (Nature-based Solution) に基づく適応策のパッケージを開発することである.NbSパッケージは,環礁国を対象として,時空間デザインの中に地域性とステークホルダーとの関係を組み入れ,小島嶼(SIDS)一般に適用できる内容とする.これに基づいて,現地の行政官とコミュニティなどステークホルダー自らが,国際機関とともに資金調達も含めて,NbSの実装に向けた具体的な取り組みを始める道を拓く.

研究概要:国連気候変動枠組み条約COP27で「損失と損害による補償」が議題とされた.適応策には,人工の防災インフラの整備だけでなく,生態系の機能を活用したNbS (Nature-based Solution) が求められる.環境省は「気候変動適応計画」において,小島嶼開発途上国 (SIDS: Small Island Developing States) に対する適応策支援を表明した.SIDSの中でも国土標高2-4mの環礁国は,海面上昇による国土の水没が危惧され,国際的な支援資金の投入が始まっている.環礁国には,狭小・遠隔・散在という地理的条件のもとで支援に頼らなければならないという問題がある一方で,サンゴ礁という防災や地形形成機能も持つ自然資本を有しており,それを活用して社会の強靱化をはかるNbS実装が求められる. 本研究の目的は,太平洋のSIDS環礁国のローカルな課題に応え,自然・人工インフラを活用した防災と社会経済の強靱化をはかることである.そのために,キリバス,マーシャル諸島共和国,ツバルにおいて,環礁国のローカル・グローバルの複合した問題を明らかにした上で,自然生態系と工学的対策に組み合わせによって,費用対効果の大きなNbSを提案する.さらに気候変動・海面上昇のもとで変化するサンゴ礁生態系と社会インフラとの時空デザインを構築して,経済モデルと生態系モデルを統合して,多様な生態系サービスも含めてNbSの経済効果を分析する.こうして得られた成果をパッケージとして,現地関係者とともに,対象国の社会経済と伝統知に基づくNbSとして自律的な実装への道筋を創る. 得られた成果は,他のSIDSにも適用可能なものとして,「気候変動適応法」第18条の求める,気候変動適応国際協力の推進に活用されるとともに,様々な国際支援と民間資金を本成果に基づくNbSに導入することができる.

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